便利屋は生活のあらゆる困りごとをサポートできるため、独立や副業として注目を集めています。しかし「何でもできる仕事」と誤解されやすく、法律や資格、安全性の観点から必ず守らなければ大きなリスクを抱えることになりかねません。
本記事では、これから便利屋として開業を目指す方に向けて「できないこと」や「注意点」を整理して解説します。
便利屋として受けられない依頼3選
便利屋には幅広い対応力がありますが、次の3つに分類される業務は基本的に依頼を受けることができません。
- 犯罪に関わる行為
- 免許が必要な依頼
- 安全確保が難しい作業
それぞれの具体例を見ていきましょう。
犯罪に関わる行為
盗撮やストーカー行為など、法律に反する依頼は絶対に受けてはいけません。違法行為を引き受ければ依頼者だけでなく、あなた自身も処罰の対象となります。
便利屋は法律を守って営業することが前提であり、違法な依頼を引き受ければ業者自身も処罰の対象となるためです。
例えば、特定の人物の跡をつけて行動を記録する「尾行」や、他人に迷惑をかける「嫌がらせ行為」を依頼するのは、犯罪行為に該当します。そのような業務を請け負えば、依頼者だけではなく便利屋の業者の方自身も処罰を受けるでしょう。
したがって、犯罪に直結するような依頼は一切できないことを理解しておかなければいけません。
免許や資格が必要な依頼
たとえばガソリンや劇薬などの危険物の運搬・処理は、便利屋で対応できません。これらの取り扱いには「危険物取扱者」の資格が必要であり、無資格で行えば法令違反になります。また、知識不足のまま扱うと、爆発や中毒事故など、重大なリスクを引き起こす恐れがあるでしょう。
医療行為や法的な手続きも同様です。専門性が求められる仕事は必ず断ってくださいね。
安全確保が難しい作業
電気配線の工事やガス設備の修理といった専門業務は、重大な事故につながるリスクがあり、必ず国家資格を持つ専門技術者が対応しなければいけません。便利屋が無資格で行えば法令違反となり、罰則の対象にもなることもあります。
例えば「コンセントの増設」「分電盤の工事」「ガス管の修理」などは、電気工事士やガス主任技術者といった資格が必要です。便利屋に依頼すると知識不足から施工不良や事故が発生する危険が高く、結果的に修繕費や安全性の面で大きな損害を招く恐れもあるでしょう。
便利屋でできるおもな仕事5選
便利屋ができないことを理解したうえで、実際に頼めるサービスも知っておきましょう。代表的な業務は以下の5つです。
- 生活のサポート
- 引っ越し・運搬サポート
- 高齢者向けサービス
- 特殊サポート
- 企業向けサービス
それぞれの具体例をみてみましょう。
生活のサポート
- ゴミ出し
- 留守番
- 宅配の受け取り
- 買い物
掃除、買い物代行、家具の組み立てなど、日常生活に密着した作業を幅広く依頼できます。特別な資格を必要とせず、気軽に利用しやすいサービスです。
引っ越し・運搬サポート
- 荷物の梱包作業
- 家具の配置換え
- 家電リサイクル搬出
小規模な引っ越しや荷物の運搬をサポートします。大手引っ越し業者に比べ費用を抑えられる点が魅力です。家具の分解や設置も依頼可能です。
高齢者向けサービス
- 通院の付き添い
- 話し相手や見守り
- 買い物同行
- 家電操作の補助
買い物や病院への付き添い、部屋の片付けなど、高齢者の日常の生活をサポートします。医療行為はできませんが、生活を支える面で大きな助けとなります。
特殊サポート
- イベント時の人手不足
- 季節行事の準備
- 趣味や習い事の補助
遺品整理やペットの世話、庭の草刈りなど、特殊な依頼にも柔軟に対応してくれるのが「便利屋」です。内容に応じて追加費用が発生する場合があります。
企業向けサービス
- チラシのポスティング
- 展示会ブースの設営補助
- 在庫整理
- 棚卸補助
事務所の清掃、備品整理、イベントスタッフなど法人向けの依頼にも対応可能です。人手不足解消のためにも利用されるケースが増えています。
防犯対策
- 侵入経路になりやすい場所の簡易チェック
- 人感センサーライトの設置補助
- 留守番サービス
防犯カメラ設置の補助や見周り業務など、身近な防犯支援を提供します。ただし、専門的な警備業務は法律で制限されています。
不用品回収・片付け
- オフィス移転時の不要書類の整理
- 衣類や布団の仕分け・処分
- ガレージやカーポートの片付け
粗大ゴミや不用品の処分をサポートします。ただし、「一般廃棄物収集運搬許可」や「産業廃棄物収集運搬許可」が必要なケースもあります。
まとめ
便利屋は「何でも屋」と思われがちですが、法律や資格、安全性の観点から明確な制限があります。犯罪や違法薬物、資格を要する作業、危険物の取り扱いなどは依頼できません。
便利屋に依頼するうえで大切なのは、「できないこと」を理解したうえで「できること」をうまく活用することです。そうすることで、依頼を受ける際に失敗せず、スムーズに仕事が進むでしょう。

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