便利屋を開業するには?必要な手続きや資格、費用の目安を解説

便利屋とは、日常生活のサポートやトラブル解決に対応するサービス業です。仕事の幅が広く、困っている人の役に立てることから、便利屋の開業に興味を持つ方もいるでしょう。

一方でネット検索をすると「やめとけ」「失敗する」といった声もあり、不安に思う方も少なくありません。たしかに便利屋は誰でも始めやすく、他社との差別化が難しい仕事です。やみくもに始めても、集客に苦戦してしまいます。

開業するならまずはサービス内容と料金を考え、集客までの道筋を立てるところから。

この記事では、便利屋を開業するまでの流れや必要な資格、手続きについて解説します。

「便利屋の開業を考えている」という方は、ぜひ参考にしてください!

目次

便利屋を開業する流れ

便利屋の開業は大きく以下の流れで進みます。

  • 個人で開業、またはFCに加入する
  • サービス内容と料金表を決める
  • 資格・技術を取得する
  • 必要な道具や車両を揃える
  • 集客方法を考える

それぞれ詳しく見ていきましょう。

個人で開業、またはFCに加入する

便利屋は個人事業主として自分で始める方法と、フランチャイズ(FC)に加入する方法があります。

フランチャイズとは、本部が加盟店にノウハウを与える代わりにロイヤリティを受け取るビジネスモデルです。集客やノウハウに強みがありますが、FCに加盟すると本部へロイヤリティを払う必要があります。

個人開業とフランチャイズ加入について、それぞれのメリット・デメリットをまとめました。

メリットデメリット
個人開業自由度が高いロイヤリティ、加盟金がかからない集客や信頼の獲得は自分で行う必要がある
フランチャイズ加入ノウハウやブランド力を借りられるルールが決まっているロイヤリティや加盟金がかかる

自分の資金力や、地域の需要を踏まえて選びましょう。

FC=必ず集客できる、儲かるとは限らないので注意!

サービス内容と料金表を決める

便利屋の仕事内容は幅広く、簡単なお手伝いから資格や技術が必要になる高度な作業まであります。まずはサービス内容を明確にしてから開業しましょう。

便利屋の仕事(一例)

  • 掃除
  • 庭仕事
  • 引っ越し手伝い
  • 家具の組み立て
  • 高齢者の付き添い

サービス内容によっては、専用の資格が必要です。例えばスイッチやコンセントの設置は、電気工事士の資格を持っていないとできません。仕事内容から逆算して、必要な資格・技術を習得しましょう。

また、トラブル防止には明朗な料金表を作成しておきましょう。料金は 1時間あたり3,000円〜5,000円程度が相場で、専門性の高い仕事ほど、高単価を目指せます。

料金に迷ったら、似たような仕事内容の便利屋を調べてみると相場がわかります!

資格・技術を取得する

便利屋を開業するだけなら資格がなくてもできます。しかし、資格があると請け負える仕事の幅も広がります。

例えば遺品整理や電気工事などは、資格があると信頼度が高まります。サービス内容から、必要な資格・技術を考えましょう。資格はペーパーテストのみで取得できるものもあれば、現場経験や実技テストが必要なものもあります。

資格テストの種類
自動車免許筆記試験、実技試験
古物商許可届け出のみ
電気工事士第一種:筆記試験、実技試験
第二種:筆記試験、実技試験、3年以上の実務経験

資格を取得する場合は、事前に条件を確認しましょう。

必要な道具や車両を揃える

便利屋の業務に必要な道具や車両を揃えます。

便利屋の開業に必要なもの(一例)

  • 工具一式
  • 掃除用具
  • 軽トラック
  • パソコン

中古品やレンタルリースを活用すれば、初期費用を抑えることが可能です。

開業届と青色申告を出していれば、事業にかかった費用は経費として申請できます!

集客方法を考える

便利屋の失敗例で多いのが「仕事がない」というケースです。集客には以下の方法があります。

  • 自社ホームページの作成
  • ポスティングチラシ
  • Googleビジネスプロフィールの登録
  • SNSの情報発信
  • 地域の口コミを活かした紹介

便利屋は特に地域の評判が大切です。「信頼できる便利屋」という評判を積み重ねると、長期的な成功につながります。

便利屋の開業に必要な手続き

便利屋の開業にあたり、最低限必要な手続きは次の2つです。

便利屋の開業に必要な手続き
  • 開業届の提出
  • 青色申告の申請

この手続きさえ済ませれば、すぐに便利屋として活動を始められます!

開業届の提出

開業届とは、個人事業主が事業を始める際に税務署へ提出する書類のことです。青色申告を申請するためにも必要で、所得税法により事業開始後1ヶ月以内の提出が義務付けられています。税務署で申請するほか、現在はオンラインでも提出できます。

青色申告の申請

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。確定申告を青色申告にすると、最大65万円の控除が受けられ、節税効果が高まります。開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出しておきましょう。

青色申告には帳簿の記録が必要です。最近では会計ソフトを使えば自分で確定申告を行うこともできます。

便利屋の開業にあるといい資格

医師や弁護士とは異なり、便利屋を名乗るために資格は必要ありません。しかし便利屋の業務内容によっては、資格が必要になることもあります。便利屋を開業するにあたり、おすすめの資格をいくつか紹介します。

  • 自動車免許
  • 古物商許可
  • 一般廃棄物収集運搬業・産業廃棄物収集運業者
  • 電気工事士

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自動車免許

買い物代行や送迎、依頼先への移動などに自動車を使います。地方で便利屋を開業する場合、自動車がないと仕事を受けられません。

そのため、便利屋の仕事に運転免許は必須です。仕事における移動や荷物の運搬には、第一種免許を取得すれば十分です。

古物商許可

不用品回収やリサイクル品の販売を行うなら、古物商許可を取得する必要があります。許可がないまま中古品を買い取り・販売するのは違法です。

便利屋業務は「不用品回収依頼」が多く、そこから利益を得るためには古物商許可を持っておくと安心です。特にリサイクルショップと提携する場合や、自分でフリマアプリ・中古市場に販売する場合に活かせます。

古物商許可を取るには、事業地の所在地を管轄する警察署に申請します。

参考:古物商許可申請|警視庁

一般廃棄物収集運搬業・産業廃棄物収集運業者

便利屋に多い依頼のひとつが、粗大ごみや廃棄物の処分です。これらは自治体ごとに厳しく規制されており、無許可で廃棄物処理をすると罰則があります。

家庭ごみや事業系ごみを運搬・処分するには「一般廃棄物収集運搬業の許可」、事業活動で発生する廃棄物を扱うには「産業廃棄物収集運搬業の許可」が必要です。

ごみ・廃棄物の処分を扱う場合は、これらの資格を取得するといいでしょう。

電気工事士

便利屋の業務にはコンセント・スイッチの設置、エアコンの取り付けなど電気を扱う作業が含まれることがあります。このときに必要になるのが、電気工事士の資格です。

電気工事士の資格には、第一種と第二種の2種類があります。第一種の方が請け負える業務の範囲が広く、その分取得も難しくなります。一般家庭の電気工事であれば、第二種があれば対応可能です。

資格電圧
第一種第二種の範囲に加えて、高電圧で受電する小規模なビル、工場などの電気設備などの工事の作業に従事できます。
第二種低圧で受電する一般家庭、商店等の屋内配線設備や小規模な太陽電池発電設備などの工事の作業に従事できます。
引用:電気工事士の資格概要|一般財団法人 電気技術者試験センター

便利屋として電気工事を行う予定なら、電気工事士は取得しておきましょう。第二種は実務経験がなくても受験できます。

便利屋の開業に必要な資金

開業資金、固定費としてかかる費用を解説します。

開業資金

便利屋は他業種に比べて少資金で始めやすい仕事です。開業届、青色申告の申請には費用がかかりません。初期コストとして、項目と費用の目安をまとめました。

項目費用
道具類10万〜30万円
車両費用50万〜100万円
広告・チラシ数万円
ホームページ数万円〜10万円以上

高度な作業、工事に対応する場合、道具類のコストも大きくなります。

車両費用は、中古車を利用すると安く抑えられます。

固定費

開業後に必要な固定費としては、以下が考えられます。

  • 車両維持費(ガソリン・保険・車検など)
  • 損害賠償保険
  • 通信費(電話・ネット)
  • 広告宣伝費
  • 事務所の家賃
  • (フランチャイズの場合)ロイヤリティ

月数万円〜十数万円のランニングコストを見込んでおきましょう。

手持ちの資金や融資の金額から、無理のない金額に留めることが大切です!

便利屋の開業に関するQ&A

便利屋の開業に関する質問について、よくある質問と回答をまとめました。

便利屋に資格は必要ですか?

資格がなくても開業可能です。ただし、仕事内容によっては古物商許可や廃棄物収集運搬の許可が必要です。サービスに応じて、取得を検討しましょう。

便利屋に将来性はありますか?

高齢化や共働き世帯の増加により、「ちょっとした手助け」を求めるニーズは拡大しています。地域密着型で信頼を得れば、将来性は十分にあります。

便利屋の年収はどれくらいですか?

売上は地域や集客力により大きく変わりますが、個人事業主の平均年収は300万〜600万円程度です。信頼を得てリピーターや法人契約を獲得できれば、さらに高収入も可能です。

まとめ|便利屋を開業するなら、集客が大切

便利屋の開業自体は決して難しくありませんが、始めやすい分集客が難しい仕事です。便利屋としてコンスタントに仕事を得るには、集客を計画的に行うことが大切です。

集客にはチラシや口コミのほか、ホームページ・SNSなどWebを活用するといいでしょう。開業したら、まずはコツコツとお客さんの信頼を得るところから。便利屋は決して楽な仕事ではありませんが、目の前のお客さんの役に立てるやりがいがあります。

この記事を参考に、まずはどんなサービス内容にするか考えてみましょう!

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